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バランスについて TEXT 清水 正哉

窓あるいはカーテンなどの上部に、横断するように付いているウィンドエレメントを、一般的に“バランス”“上飾り”“トップトリートメント”等と呼んでいます。



いろいろなタイプがありますが、作り方から大別すると3タイプに分けられます。一つは普通のカーテンのようにヒダを取って作るもの(写真1)。二つ目(写真2)はヒダを取らずに芯地を使ってフラットに仕上げるもので、“ペルメット”等と呼ばれています。三つ目(写真3)は生地そのもので曲線を作る、“スワッグバランス”と呼ばれているもの。さらにそれらの中間的なもの、どれにも当てはまらないものなどもありますが、一般的なタイプは上記3タイプとその派生形でほとんど網羅されています。

“バランスって大げさ”“うちには似合わない”と思っている方も多いと思いますが、確かに二つ目・三つ目のタイプの中には、“クラッシック”“トラディショナル”“エレガント”といったイメージを色濃く演出すのに重宝する形もあるので、仕様によっては一般的とは言いにくいのですが、一つ目の“ヒダを取るもの”ならば、そんなに仰々しくはありませんし、ことさら堅苦しいイメージを強調するものではないので、もっと手軽に用いてもいいのではないかと思います。

では“なぜ付けるのか”といえば、
 “凝った感じがする”“こだわりが感じられる”“一味違う”“かっこいい”
 “オリジナリティがある”“重厚感が出る”“華やかさが出る”“かわいい”
といった言葉のイメージするものを効果的に表現できるからです。カーテンそのものの色柄・形だけでのイメージアップには限界があるので、バランスの追加はそれらをよりよく表現するのには最良の方法です。  カーテンとカーテンレールの関係は、ファッションでいうところの“洋服と靴”の関係と良く似ています。バランスはカーテンレールと同じ位置関係なので、“カーテンとバランス”も同様に、とても重要な関係と言えます。どんなに高級でカッコいいスーツでも、足元がNGではファッションとして×。と言われるように、いくらカーテンがよくてもレール・バランスがダメなら、インテリアとして×。“窓のお洒落はレール・バランスから”だと思います。


また、バランスの視覚的な効果として、写真左のような幅の広め(270~300㎝)の窓では、ドレープを開けている時の“間伸び感”を防ぎ、窓に一体感を持たせられる、インテリアの一部としてのドレープの色彩を常時楽しめる、といった効果が期待できます。せっかく気に入ったドレープを掛けていても、カーテンを開けている日中に見ていられるのが、畳まれて小さくなっているところだけでは、もったいない感じさえします。小さい窓の場合(幅70~100㎝)は、女の子の部屋なら、写真下のようにフラワープリントなどでかわいらしさを演出し、アクセント的な効果を狙うこともあります。もちろん一間幅程度(180~200㎝)の標準的なサイズの窓であれば、上記二つの効果を併せ持っています。

機能的な効果としては、遮光性・保温性のアップなどが挙げられます。天井面・梁下等の水平面に付ければ(写真右)、カーテンレールからの光漏れ、室内空気の循環を抑えられます。正面付け(写真左)の場合は、上面が空いているのですが、塞げば同様の効果が得られます。

気を付けたいのは取付ける位置で、通常バランスの裾で窓枠が隠れる程度の位置(※1)に設定します。これが上すぎて枠やその上の壁面が見えてしまうと、カーテンボックスとは違い見栄えが悪く(※2)なってしまいますし、下すぎれば採光に影響します。また、窓上部から天井までの壁面が長いケースで、天井面にバランスを付け、窓枠が隠れるバランス丈に設定した場合、カーテン丈とバランス丈のつり合いが悪く、頭でっかちな印象(※3)になってしまうので、何らかの配慮をする必要があります。

バランス丈の設定も重要で、一般的なバランスの丈は形・サイズなどにもよりますが、全体の丈の12~18%程度が適切(絵1)で、その範囲を外すと窓全体が不自然なプロポーションになってしまうことがあります。上の絵は天井高2,400㎜、サッシ高2,000ミリ(6尺6寸)の標準的な一戸建て住宅の壁面です。

絵2はバランス丈15%ですが枠が覗いてしまい、絵4は枠を隠すため20%にしましたが、圧迫感がある印象です。絵3はバランス丈10%で比較的に好印象かもしれませんが、絵のフラットストレートからボックスプリーツ(絵5)に変えてみると、やや短く感じるかもしれません。

サイズはもとより形でも印象が異なるので、バランスを付けるときは注意しましょう。


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