ピンクのモリス

ピンクのモリス　William Morris　Pink morris

今回発売されたイギリス製ウィリアムモリスの新作に、イチゴドロボウ(Strawberry Thief)・フルーツ(Fruit)の
ベースカラーにピンクを使った生地が含まれています。
そのほかにもリニューアルされたデイジー(Daisy)もピンクの花が印象的です。
以前からあったピュアモリスのブレアラビット・ピンク、シンプリーセバーンなども合わせて、
ウィリアムモリスの生地としては比較的に珍しいピンク系の生地を比べてみます。

左から順にW076デイジー、中央上W071イチゴドロボウ、中央下W039ローズヒップ、右W073フルーツ。

デイジー、イチゴドロボウ、フルーツ、ローズヒップ、新作モリスのプリント生地の中から4点をピックアップしました。
すべて歴史のある人気のデザインですが、近年発表されてきた斬新な色使いのプリント生地と比べ、今回のものは親しいやすいカラーリングなので、比較的日本でも受け入れられそうな雰囲気です。全体の印象としてはビビットトーンよりもやや彩度を抑えた、ストロングトーン程度の爽やかでハッキリとしたカラーです。その中からピンクが映える生地を選んでいます。

ピンクの映える新作のプリントモリス。

左から順にW073フルーツ、中央W076デイジー、右W071イチゴドロボウ。

フルーツ、デイジー、イチゴドロボウを並べてみました。
この三つの柄を並べて同時に使うことはないとは思いますが、トーンが近い色使いなので並べて見ても違和感が感じられません。
デザイン・パターンも同じモリスタッチなので相性も良く感じます。フルーツだけは少し葉や果実が大きめで、他の二つとは密度感が異なりますが。好き嫌いが分かれるピンク色ですが、好きな方にはとても気になる特別感のある色だと思います。

デイジーとシンプリーセバーンを入れ替えてみました。

左から順にW066シンプリーセバーン、中央W071イチゴドロボウ、右W073フルーツ。

ピンク色ベース生地を三通り。単体で見るとすべてピンク系のイメージなのですが、並べてみるとずいぶん色差があります。
シンプリーセバーンとフルーツは少しイエローを含んだオレンジ色寄りのピンク。シンプリーセバーンを生地単体で見ると明るめのプリントなのですが、イチゴドロボウを隣にするとだいぶ落ち着いた印象です。イチゴドロボウは純赤にホワイトを加えたイメージで、近年ではありそうで意外と少ない純ピンク系のカラーです。

おそらく一番気になるイチゴドロボウ。

W071イチゴドロボウ。

今回の主役はやはり一番ピンクらしいピンクのイチゴドロボウでしょうか。
葉・茎・鳥の翼のグリーン・ブルーグリーン、濃いピンクのイチゴも生地全体の明るく鮮やかなイメージを助長するいい仕事をしています。以前からのクラッシックエレガントイメージの国内在庫イチゴドロボウと比べ、かなりカジュアル感が増している印象で、従来のモリスイメージにとらわれない様々なインテリアに用いることができそうです。ただし、部屋の窓すべてをこのピンクのイチゴドロボウで統一することに抵抗があるということであれば、他の生地と組み合わせることも考えられます。

デイジー、ローズヒップとのコンビネーション。

左W076デイジー、右W071イチゴドロボウ。

左W039ローズヒップ、右W071イチゴドロボウ。

花や葉の大きさが近く柄の密度感も同等で、カラートーンが近く類似色が多いので、新作デイジーと新色ローズヒップはピンクのイチゴドロボウとの組み合わせに丁度良い存在です。図柄はもちろん同じモリスタッチなので相性よし。
ピンクのイチゴドロボウと組み合わせたとき、デイジーもローズヒップも地色が明るいホワイト系なので、ピンクの明るさを生かしモリス感を維持しながら、派手さをちょっと抑えることができそうです。分配比率を変えて二通り見てみます。

デイジー : イチゴドロボウ＝ 50 : 50、ローズヒップ : イチゴドロボウ＝ 50 : 50。

それぞれ50％づつの組み合わせです。二つ上のイチゴドロボウ100％の画像と比べて見ます。　　
デイジーとの組み合わせだと明るさが増してけっこう華やかな印象。ピンクの花が意外と強し。イチドロ100％の方が返って落ち着いているかもしれない。ローズヒップとの組み合わせは、なるほど数字通り50％ぐらい控え目になったような気がします。

つづいて、デイジー : イチゴドロボウ＝ 67 : 33、ローズヒップ : イチゴドロボウ＝ 67 : 33。

イチゴドロボウが三分の一の組み合わせ。デイジーとの組み合わせは50％とあまり大きく印象が変わらない。ローズヒップはさらに少し落ち着いた印象。ピンクのイチゴドロボウを落ち着かせるにはローズヒップとの組み合わせ、もしくは下の項でご紹介するプレーンな無地との組み合わせがお勧めのようです。

ローズヒップに関してはレーヨン80％で素材感が少し違うので、クリーニング等以後のメンテナンスなどを考えると、イチゴドロボウと一体として縫い合わせるよりも、別々のエレメントとした方が良いかもしれません。デイジーとイチゴドロボウは同じ綿100％で比較的近い素材感なので、ツートーン・スリートーンなどのコンビネーションスタイル、ボーダー・ヘム等のアクセント的な使い方もできます。より華やかになりますが。

プレーン無地との組み合わせ。ライト＆ナチュラル調と濃いめカラー。

左W076デイジー、右W071イチゴドロボウ。

左W039ローズヒップ、右W071イチゴドロボウ。

プレーンな無地はフジエテキスタイル『コローレ』(全25色 5,800円/m)から選択しています。
イチゴドロボウと同じ発色の良いコットン100％、中厚で表面に起毛加工を施したドレープです。イチゴドロボウよりやや厚くザックリとしたイメージ。この生地とコーディネートすることでコストダウンにも繋がります。
明るめの無彩色系との組み合わせるとナチュラル感が増して少し落ち着いた印象に、濃いめカラーとの組み合わせだとけっこうな存在感のあるカーテンになります。ダークグレーだとちょっと違う方向に向かってしまうかもしれません。生地の配分にもよりますが。

生地の組み合わせ方法・配分などについては、参考に下の施工例等をご覧ください。　

最後に織物のピンク系モリス。

左から順にW016ピュアブレアラビット（イギリス製）、中央K012レスター（日本製）、右K002ピンクアンドローズ（日本製）。

どれもピンクと呼ぶにはちょっと弱いのですが、『ピンクのモリス』というページなので、プリントとの比較用に並べています。
織物だとプリント生地の様な強い発色が出にくいのでグッとシックな印象になります。その代わりに立体感もあり地厚な印象になるジャガード織物には、プリント生地では出せない重厚感・存在感があります。よりクラッシックエレガントなイメージに。
ブレアラビットとレスターは光沢感もありプリントとは随分と違う印象です。ピンクアンドローズはほとんどピンクは入っていないのですが、名前が名前なので一応加えています。